野菜の入荷時には、一般細菌や大腸菌など、さまざまな菌が付着しています。
食中毒予防の為にも野菜に対しては、以下の4つが大事です。
野菜に付いた細菌類について大事なこと
✅持ち込まない。➔細菌類を調理場に持ち込まない。
✅付けない。➔細菌類を他の食材に付けない。
✅増やさない。➔細菌類を入荷時以降増やさない努力。
✅やっつける。➔細菌類を洗浄・殺菌。
今回の記事では、野菜に付いた細菌類を「やっつける」のところを書いていきます。
しかし、大量調理の現場ですと、野菜の洗浄・殺菌をするだけで一苦労です。
やったことがある人たらわかりますが、洗浄と殺菌は調理前の工程で仕込みの前座みたいなものです。
洗浄殺菌を早く終わらせて、次に行きたい気持ちが前に出てきてしまいます。
そうなると、洗浄・殺菌が雑になり、食中毒の危険性が増します。
なので、簡単な技なんてないかなぁって考えてしまいますよね。
今回の記事では、現場に合った最良の方法を見つけてもらうために、「洗浄・殺菌」について書いていきます。
・殺菌方法・洗浄・殺菌
目次
野菜の殺菌方法
野菜の殺菌方法は、主に以下の4つ。それぞれのメリットとデメリット。使い方を書いておきます。
野菜の殺菌方法は主にこの4つ!
ブランチング法(熱湯浸漬法)
電解次亜水(弱アルカリ性)
オゾン水
低コストでする殺菌方法
次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌
次亜塩素酸ナトリウム希釈液100ppmで10分間浸漬
メリット | デメリット |
・低コスト | ・塩素の臭いが付く |
・大腸菌やサルモネラにも有効 | ・アルカリ製品に注意 |
・カビにも有効 | ・時間が経つと効果が薄れる |
・少量での使用が可能 |
ブランチング法(熱湯浸漬法)
100度近い熱湯で数秒間浸漬の後すぐに冷却。
メリット | デメリット |
・低コスト | ・葉野菜が不向き |
・殺菌効果が高い | ・火傷の恐れがある |
・どんな菌にも有効 |
生成装置が必要な殺菌方法
電解次亜水(弱アルカリ性)
80ppmで5~8分間浸漬。pH8.0~9.0
メリット | デメリット |
・単位ングコストが安い | ・装置が高い |
・希釈する必要がない | ・時間と共に塩素濃度が低下 |
・原料が食塩と水のみ | ・有機物による劣化が早い |
・塩素臭が少ない | |
・殺菌効果が高い |
オゾン水
0.5~5ppm流水状態にして10分間浸漬
メリット | デメリット |
・菌に対して速攻がある | 殺菌効果に持続性がない |
・大腸菌やサルモネラに有効 | |
・希釈する必要がない | |
・残留性がない |
大量調理施設衛生管理マニュアルに記載されている事
大量調理の現場では、厚生労働省が出しているガイドライン「大量調理施設衛生管理マニュアル」に従って、野菜の洗浄殺菌する必要があります。
もちろん、最寄りの保健所もこのガイドラインを基に指導を行っていますので、保健所の指導を最優先で洗浄・殺菌を行いましょう。
以下が、大量調理施設衛生管理マニュアルに書かれている事です。
(原材料等の保管管理マニュアル)
1.野菜・果物 (注3)
① 衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品又は使用禁止とする。
② 各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密封して入れ、-20℃以下で2週間以上保存する。(検食用)
③ 専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、10℃前後で保存する。(冷凍野菜は-15℃以下)
④ 流水で3回以上水洗いする。
⑤ 中性洗剤で洗う。
⑥ 流水で十分すすぎ洗いする。
⑦ 必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム等(注4)で殺菌(注5)した後、流水で十分すすぎ洗いする。
⑧ 水切りする。
⑨ 専用のまな板、包丁でカットする。
⑩ 清潔な容器に入れる。
⑪ 清潔なシートで覆い(容器がふた付きの場合を除く)、調理まで30分以上を要する場合には、10℃以下で冷蔵保存する。注3:表面の汚れが除去され、分割・細切されずに皮付きで提供されるみかん等の果物にあっては、③から⑧までを省略して差し支えない。
注4:次亜塩素酸ナトリウム溶液(200mg/ℓで5分間又は100mg/ℓで10分間)又はこれと同等の効果を有する亜塩素酸水(きのこ類を除く。)、亜塩素酸ナトリウム溶液(生食用野菜に限る。)、過酢酸製剤、次亜塩素酸水並びに食品添加物として使用できる有機酸溶液。これらを使用する場合、食品衛生法で規定する「食品、添加物等の規格基準」を遵守すること。
注5:高齢者、若齢者及び抵抗力の弱い者を対象とした食事を提供する施設で、加熱せずに供する場合(表皮を除去する場合を除く。)には、殺菌を行うこと。
大量調理施設衛生管理マニュアルには、上記のように書かれていますが、やはり私のお勧めは、「次亜塩素酸ナトリウムによる希釈液殺菌」。
低コスト、そして、何より洗っている感覚があるので(昔の感覚です)次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌を推奨しています。
大量に野菜を洗いたくない人の方法
こんな洗浄・殺菌などの面倒くさい作業をしたくない!って思ったそこのあなた!
いい方法があります。しかも、2個あります。
✅冷凍野菜を使う方法
✅カット野菜を八百屋から買う方法
冷凍カット野菜を使う方法
野菜を洗わないで使う方法で一番効率的かつ低コストなのが、冷凍カット野菜を使う方法です。
冷凍カット野菜を使うことにより、洗浄・殺菌は全く必要ありません。
冷凍カット野菜は、ほぼすべての野菜があり、切り方なども様々。(もやしはない)
人参などは、千切り、乱切り、輪切り、サイコロ、くし切りなど、本当にさまざま。
ですので、料理によってカット方法を変えて使うこともできます。
しかし、残念なことが3つほど。
✅生野菜より美味しくない
✅日本産の冷凍カット野菜はやっぱり高い
✅袋から出す手間がある
残念なところを差し引いても、洗浄・殺菌の手間を考えると絶大にコスパがいいってことになります。
楽天でも売っていたりします。
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カット野菜を八百屋から買う方法
カット野菜を買うことにより、野菜の下処理をする時間、洗浄殺菌する時間、料理に適してた切り方をしてくれる時間を、省くことが出来ます。
八百屋さんから時間を買うようなものです。
だから、洗浄することもないし、殺菌することもありません。
しかし、カット野菜を使うのにも大事な保健所からの指導があり、4つのチェックを行うよう言われたことがあります。
4つのチェック
✅表面温度チェック(入荷時の温度を測定)
✅外装の破れ等ないかチェック!(目視)
✅賞味期限・産地・仕入れ先情報をできるだけチェック!(仕入れ前に)
✅変色・虫の混入・異物などのチェック!(目視)
表面温度チェックは、表を作って書いておくと、保健所への提出書類になるので、入荷時にはコマメにやっていきましょう。
ちなみに、温度チェックはこんな機械を使います。
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カット野菜屋さんなんて知り合いいないよ~っていう人もいるはず。
カット野菜専門の八百屋は、最近需要があり伸びている産業です。
ですので、お近くの市場にもカット専門の八百屋がいるはず。(地方市場より中央市場)
私は、カット専門の八百屋を見つける為に、市場をうろちょろ。
情報を仕入れて頼みに行った覚えがあります。もちろん、配達込みでやってくれました。
そういう八百屋さんを探してみると、大量調理も楽になりますよ。
しかし、カット野菜はその日で使い切ることをしないと菌が増殖する恐れがあるので「使い切り」を頭に入れて行動することが大事です。
弁当屋さんは、冷凍野菜とカット野菜
弁当屋さんのサイトなので、最後は弁当屋さんの話で絞めていきます。
弁当屋さんの場合、洗浄殺菌を自分たちで行っていると、時間がいくらあっても足りません。
その理由は、人手不足にあります。
近年、弁当屋さんも人手不足を解消するためにあの手この手でいろいろやってはみますが、なかなかいい人材は入ってきません。
よって、どこの弁当屋さんも人手不足です。
人手不足の中で、野菜の洗浄殺菌を行い、仕込みをしていたら、時間がいくらあっても足りません、
特に、大量調理と言われるレベルになってくると、仕込みをする量も、数分で出来るものはありません。
ですので、弁当屋の大量調理の現場では、冷凍野菜を使うか、カット野菜を使うのがベストです。
ただ、冷凍野菜を使うとやはり美味しい弁当は出来ません。
野菜を冷凍することによって、野菜の繊維はボロボロ。料理をしても旨味を引き出せません。
その点、カット野菜は、チルド状態ですので、フレッシュです。
美味しい弁当は作れますいし、料理している方も楽に出来ます。
しかし、コスト高にはなります。
こうなると、やはり弁当屋の方針次第ってことになりますね。