大量調理施設管理マニュアルの中心温度についてよくわからない
大量調理の中心温度管理ってみんなどうしているんだろう
この様な疑問に対して今回の記事では、大量現場歴15年のなおがお答えしたいと思います。
最後まで読んでね。
・大量調理の現場の中心温度について!
・中心温度を計測する意味。
目次
大量調理施設衛生管理マニュアルの中心温度については悩む管理
大量調理衛生管理マニュアルには、調理済み食品に対する中心温度について記載されていますが、皆さんは読んだことがありますか?
大量調理施設衛生管理マニュアルより、抜粋して記載します。
加熱調理食品の加熱温度管理
加熱調理食品は、別添2に従い、中心部温度計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度と時間の記録を行うこと。大量調理施設衛生管理マニュアルより
皆さんはこれを見て、どう思いますか?
この大量調理施設衛生管理マニュアルで疑問に思うことが、食品によって違うんだぁってことです。
75℃を1分の物もあれば、85℃~90℃を90秒の物もあります。
ハッキリ言って管理する方は現場がちゃんとやってくれるか心配になります。
それに、ノロウイルスなんて、人間の目には見えないし、人間の体内で増殖するものですから、どこにでもいそうな気がするし。75℃1分だけでは心配になってきますし、悩める給食現場はたくさんあると思います。
こうなると、大量調理をしている他の現場は、どのようにしているか気になりますよね?
各調理方法別に中心本土計測方法を書いていきます。
大量調理施設衛生管理マニュアルと各調理方法の中心温度計測方法
大量調理施設衛生管理マニュアルの中に、「加熱調理食品の中心温度及び加熱時間の記録マニュアル」という記載がある。
この中に、「揚げ物」「焼き物及び蒸し物」「煮物及び炒め物」のマニュアルがあるので書いていきます。
1.揚げ物
① 油温が設定した温度以上になったことを確認する。
② 調理を開始した時間を記録する。
③ 調理の途中で適当な時間を見はからって食品の中心温度を校正された温度計で3点以上測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)。
④ 最終的な加熱処理時間を記録する。
⑤ なお、複数回同一の作業を繰り返す場合には、油温が設定した温度以上であることを確認・記録し、①~④で設定した条件に基づき、加熱処理を行う。油温が設定した温度以上に達していない場合には、油温を上昇させるため必要な措置を講ずる。大量調理施設衛生管理マニュアルより
揚げ物で大事なポイントは、この3点!
油の温度は、体調調理では特に大事で、連続してフライヤーを使っていくと温度は急激に下がります。
同じように揚げ物を調理していても、油の温度が下がっていると、中心温度も上がらない場合があります。
ですので、中心温度を計る場合は、中心温度の計測の時、「油の温度」と「揚げ物の中心温度」の両方を記録しないといけません。
2.焼き物及び蒸し物
① 調理を開始した時間を記録する。
② 調理の途中で適当な時間を見はからって食品の中心温度を校正された温度計で3点以上測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)。
③ 最終的な加熱処理時間を記録する。
④ なお、複数回同一の作業を繰り返す場合には、①~③で設定した条件に基づき、加熱処理を行う。この場合、中心温度の測定は、最も熱が通りにくいと考えられる場所の一点のみでもよい。大量調理施設衛生管理マニュアルより
大事なポイントは次の3点!
焼き物及び蒸し物では、中心温度を計ってからもう一度加熱をすることが書かれています。
大量調理の現場では、再加熱1分は実はハードルが高く、大量調理の現場でも以下のように悩んでいる人も多いはずです。
測定するのにコンベクションを一度あけてしまうと、温度が下がってしまうため、食品によってどの程度の加熱時間を要するのか苦労しているところです。
こんな人達の為に、ヒントの口コミを見つけました。
どのくらい加熱したら3点が85度以上あがるかを確認したら、加熱時間の目安がわかるかもしれませんね。目安時間がわかれば、必要以上にコンベクションを開ける必要もない。
要するに、中心温度が達するまでに必要な時間を調べて、調べた結果をもとに同一の調理を行うことで、計測結果は同じとなってくるわけです。
haccpの考え方と同じで、同一の条件なら同じものが出来るという考えですよね。
同一の条件で調理を行うことで、時間短縮を目指すことができるわけです。
しかしながら、最初はデータが必要で調理のたびに温度と時間を計測していく必要性はあります。
3.煮物及び炒め物
調理の順序は食肉類の加熱を優先すること。食肉類、魚介類、野菜類の冷凍品を使用する場合には、十分解凍してから調理を行うこと。
① 調理の途中で適当な時間を見はからって、最も熱が通りにくい具材を選び、食品の中心温度を校正された温度計で3点以上(煮物の場合は1点以上)測定し、全ての点において75℃以上に達していた場合には、それぞれの中心温度を記録するとともに、その時点からさらに1分以上加熱を続ける(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で90秒間以上)。なお、中心温度を測定できるような具材がない場合には、調理釜の中心付近の温度を3点以上(煮物の場合は1点以上)測定する。
② 複数回同一の作業を繰り返す場合にも、同様に点検・記録を行う。大量調理施設衛生管理マニュアルより
大事なポイントは次の3つ!
煮物と炒め物では、計測の方法に違いがあります。
煮物は釜の中のだし汁を計測。炒め物は、具材を計測していきます。
煮物と炒め物は、複数回同一の作業を繰り返す場合にも、同じように計測と記録を行わないといけません。これも大事。
中心温度は85℃90秒以上で設定しておこう!
管理する立場から言って、お客様に危険がない方法で、中心温度を管理したいのは正直なところです。中心温度は「75℃、1分」なのか「85℃~90℃、90秒」なのか。どちらで管理するのがいいのでしょうか。
答えは、85℃、90秒以上です。
中心温度に関する「口コミ」を見つけたのでご紹介します。
中心温度が85℃以上あればOKという施設が多い事が分かります。ノロウイルスが死滅するまでに、85℃~90℃の加熱90秒は必要ですからね。ノロウイルスが怖いので、85℃という人がほとんどのようです。
実際、私も現場では、「85℃90秒」を合言葉にして作業を行っています。「この食品は、75℃でいいよ」なんて、大量調理の現場では判断付きにくいわけで、それだったら「全部85℃以上」の方が分かりやすいってことも言えます。
中心温度の記録の仕方で大事なこと
中心温度の記録で大事なのは、「時間の記録」と「3点の温度記録」です。
時間と温度が大事だよってことですので、必ず記録していきましょう。
表が、どんなものにすればいいかわかりませんよね。
大量調理施設衛生管理マニュアルでは、実は中心温度の管理表も作ってあります。
参考になるので、一度大量調理施設衛生管理マニュアルの最後の方を見てください。
中心温度の記録表は、毎日コツコツ書いていくことが大事で、ファイリングしておくことが大事です。
中心温度の計測を行った後、記録用紙に中心温度を記載していかなければ、「計測したという事実」は残りません。
計測記録は、「中心温度計測してやってますよ!」っていう証拠です。
この計測結果の記録は、普段は使いませんが、「保健所の立ち入り検査」と「問題が発生した時」に使います。
どちらのパターンも、保健所から提出を求められますので、ごまかしは印象を悪くします。
しかも、「問題が発生した時」は、もう血眼になって保健所も問題を探してきます。そうなった場合、計測記録がない場合、「問題施設」というレッテルは貼られるでしょう。
ですので、毎日コツコツと記録を付けていくことが大事だと言えます。
何か問題が発生したときに、一気に書いているようでは管理をしているとは言い難いです。
毎日コツコツと管理する努力が出来るかを、保健所は確認をしています。
そういう毎日の行いから食中毒の危険性は出てくるので、保健所も測定記録は重視しますよ。
中心温度の道具選び
中心温度計は、楽天やAmazonで買うことができるので、ピックアップしておきます。
タニタ 温度計 料理 グリーン TT-533 GR スティック温度計2157円
キッチン温度計 防水 クッキング用温度計 1455円
タニタ デジタル温度計 TT-508-WH 2640円
中心温度をコツコツやりましょう!
以上のように中心温度に関する記事を書いていきましたが、「計測」と「記録」を毎日欠かさず行うことが大事で、大量調理の現場では大切なことです。
大量調理施設衛生管理マニュアを出している厚生労働省も、食べる人たちの安全と作る人たちのスキルアップの為にやってくれている事でもあります。
毎日の努力はいりますが、大事なことですので継続してやっていきましょう。