
調理師免許を目指している方の中には、「あれ、前の職場でもらっておくべきだった!?」と焦っている人も多いんじゃないでしょうか。
でも、安心してください。
退職後でも「調理業務従事証明書」はもらえます!
今回は、弁当屋を15年やってきた僕が、実体験と仲間たちの事例も交えて「証明書のもらい方」や「調理師免許の受験条件」について、わかりやすくお話しします。
「今さら聞けない」って思ってるあなたの味方です!
調理業務従事証明書とは?基本をざっくり理解
「調理業務従事証明書」って、名前からしてちょっとおカタイ感じしますよね。
でも、これがなきゃ調理師免許の受験ができない大事な書類なんです。
まずは何のために必要なのか?をしっかり押さえましょう。
そもそも調理業務従事証明書ってなに?
調理業務従事証明書(ちょうり ぎょうむ じゅうじ しょうめいしょ)っていうのは、「この人、ちゃんと現場で調理の仕事をしてましたよ〜」ってことを証明する紙です。
なぜ必要?
これは、調理師免許の受験資格を証明するために必要なもの。
調理師免許って、実務経験が2年以上ないと受けられないんです。
だから「うちの職場で○年働きましたよ〜」っていう証拠がいるってわけ。
誰が発行するの?
証明書を出すのは、あなたが働いていたお店や会社の責任者(店長やオーナー、法人の代表など)です。
「自己申告でいいんじゃ?」って思うかもですが、第三者(会社)が証明しないとダメなんです。
証明書にはどんなことが書かれるの?
ざっくり言うと、こんな感じの内容です。
項目 | 内容例 |
---|---|
氏名 | あなたのフルネーム |
勤務期間 | ○年○月○日〜○年○月○日まで |
勤務先の名前 | ○○弁当店、△△株式会社など |
業務内容 | 調理、仕込み、盛り付けなど |
責任者の署名・印 | ハンコまたはサインが必要 |
※調理業務従事証明書は、厚生労働省が出している最新の「調理業務従事証明書」様式(※指定用紙)を使う必要があります。
退職後でも証明書はもらえる?その理由ともらい方
冒頭でもお伝えした通りで退職後でも発行してもらえるケースがほとんどです。
ですが絶対にとは言えないのが難しいところ。
その理由とお願いの仕方、そしてもし断られてしまった場合の対処法まで、現場経験者の視点で詳しく解説します。
もらえる法的根拠ってあるの?
まず前提として、退職後でも「調理業務従事証明書」は発行してもらえます。
ただし、ここで注意してほしいのが、「法律上の義務」はないという点。
法的にはこうなっている
- 証明書の発行は任意(強制ではない)
- でも、厚生労働省の調理師試験実施要項で「過去の勤務先での調理業務従事実績」も有効とされている
- つまり「今働いているかどうか」は関係なく、正しく勤務していた事実があれば証明書は書いてもらえる
多くの企業や店舗は、過去に真面目に働いていた人に対して、常識的に対応してくれます。
ただし、辞め方や関係性によっては断られることもあるので連絡の仕方がカギになります。
証明書を頼むときの連絡方法(例文つき)
「角が立たず、気持ちよくお願いできるかどうか」で、協力してもらえる確率がグッと変わります。
メールで頼む場合(例文)
件名:調理業務従事証明書の発行についてのお願い(●●より)
〇〇店 店長様
お世話になっております。以前、貴店で勤務しておりました●●です。
このたび、調理師免許の受験を予定しており、受験に必要な「調理業務従事証明書」の発行をお願いしたくご連絡差し上げました。
勤務期間:●年●月〜●年●月
職種:調理業務全般お忙しいところ恐れ入りますが、厚生労働省指定の様式を添付させていただきましたので、ご記入と捺印のうえご返送いただけますと幸いです。
ご不明点などございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。
何卒よろしくお願いいたします。
※ PDF様式は厚労省HPからダウンロードし添付するのがベスト。
電話で伝えるときの言い回し(ポイント)
- 名乗りはフルネームでハッキリ
- 忙しい時間を避けて連絡(昼営業中や仕込み時間帯はNG)
- 「お願いベース」で伝えるのが基本
例:
「すみません、以前そちらで調理スタッフとしてお世話になっていた●●と申します。
このたび調理師免許を受験することになりまして、必要書類の件でご相談したいことがありまして…」
相手が拒否したらどうする?
「もううち関係ないから」「担当が辞めてる」などと言われてしまった場合でも、あきらめる必要はありません。
代替案・相談先
状況 | 対応方法 |
---|---|
明確に拒否された | 冷静に理由を聞く → 書類に代わる補足資料を自分で整理(勤務証明、シフト表など) |
店が閉業している | 雇用保険の記録や給与明細、源泉徴収票をもとに保健所へ相談 |
書いてくれるけど内容が間違っている | 該当箇所を丁寧に説明し、「受験先で認められる内容」に修正を依頼 |
裏ワザ!協力してもらいやすくなる方法
実はこんなちょっとした工夫で、協力率がアップするんです。
元同僚から頼む作戦
- 直属の先輩や仲の良かったスタッフに一言「店長に話してもらえないか」相談する
- 店長が気難しいタイプでも、第三者から言われると柔らかく対応するケースあり
ワンポイント心理テク
- 「ご多忙中恐れ入りますが」など相手を立てる言葉を入れる
- 「すぐ対応しなくて大丈夫です」と時間の余裕を与える
- 「本当に助かります」と感謝の気持ちを強調
調理の実務経験としてカウントされる仕事・されない仕事
「厨房で働いてたけど、これって“調理業務”になるの?」
──これ、めちゃくちゃ多い疑問です。
どんな職種・作業が受験資格に該当するのかをはっきりと線引きしながら、グレーゾーンの突破口まで丁寧にご紹介します。
「知らなかった…」で損しないよう、しっかりチェックしておきましょう!
実務経験は原則2年以上が必要
まず、調理師試験の受験には以下の実務経験が必要です。
【基本ルール】
- 常勤で2年以上の調理業務経験
- 同一施設でなくてもOK(複数の職場を通算できる)
ここでいう「常勤」とは?
- 基本的に週4日以上かつ1日6時間以上
- 月に21日以上勤務が目安(施設によっては20日程度でもOK)
ただし、週3日×8時間勤務など、勤務形態がやや変則的な人でも実質フルタイムなら認められる場合があります。
あくまで「調理業務にしっかり関わっていたか」がポイント!
どんな施設が対象?具体例でチェック!
厚生労働省が示す「調理業務従事証明書」の裏面に、対象となる施設の例が載っています(←これが公式)。
ただ、ざっくり言えば以下のような業種・職場が対象になります。
【対象施設の一例】
種類 | 具体例 |
---|---|
飲食店系 | 居酒屋、レストラン、カフェ、ファストフード店 など |
集団給食系 | 保育園、学校給食、社員食堂、病院、福祉施設、寮など |
宿泊施設系 | ホテル、旅館の厨房 |
弁当・惣菜業 | デパ地下、スーパーの調理部門、弁当製造工場など |
「あれ?チェーンの焼き鳥屋でバイトしてたんだけど…」
→ 調理工程に関わってたなら対象になる可能性アリ!
パートやアルバイトでも大丈夫?
答えは YES!
ポイントは調理に従事していたかどうか
- 雇用形態は関係なし(正社員でなくてもOK)
- 調理補助でも、食材の加熱・盛り付け・衛生管理などが含まれていれば対象になる
「皿洗いだけだった」「配膳だけだった」など、調理工程にほぼ関わっていない場合はNGになることも。
【一目でわかる】調理師免許における「実務経験」判定表
職種・作業内容 | 実務経験としてカウント | 理由・注意点 |
---|---|---|
定食屋の調理スタッフ | ◎ | 食材の加熱・味付け・盛り付け等を日常的に行っている |
保育園・幼稚園の給食調理 | ◎ | 集団給食業務に該当(厚労省も明示) |
病院・介護施設の厨房 | ◎ | 特に衛生管理や栄養配慮が求められる業務も含む |
ホテルの調理場 | ◎ | 宿泊施設系も対象、調理内容が明確なら問題なし |
パート・アルバイト | ◎ | 雇用形態は不問。調理に関わっていればOK |
調理補助(包丁・盛り付け) | ○ | メインでなくてもOK、※証明書に具体的な記述を推奨 |
配膳のみ(給仕専門) | ✕ | 加熱や調理行為に関与していないため対象外 |
洗い場専門(皿洗いのみ) | ✕ | 調理業務に該当せず、NG |
工場のラインで盛り付けのみ | △ | 加熱・味付け等を含んでいればOK、要説明添付 |
コンビニのレジ&軽作業 | ✕ | 調理業務が主でないため不可 |
裏ワザ的な工夫:「調理補助」でもいけるケースとは?
厚労省の見解によると、調理補助であっても以下の条件に合えば実務経験と認定される場合があります。
認定されやすい調理補助の内容
- 食材の切り出し、下ごしらえ
- 火入れ済みの料理の再加熱
- 盛り付けや配膳の直前調整
- 食材の温度・衛生チェック
つまり、「加熱・衛生管理」がキーワード!
補助でも調理工程に踏み込んでいるかがポイントです。
分類 | 内容 | カウントされる? | 対処法・備考 |
---|---|---|---|
明確な調理業務 | 飲食店での調理、保育園の給食作りなど | ◎ | 基本的に問題なし |
一部が調理補助 | 下処理、盛り付け、再加熱など | ○〜△ | 補足説明・備考欄の活用 |
調理と無関係 | 洗い場専門、接客のみ、在庫管理のみ | ✕ | カウント不可 |
まとめ:調理師免許は「もらい方」より「準備のしかた」で決まる!
調理師免許の受験において、多くの人がつまずくのが証明書の壁。
でも実は、証明書を「どうやってもらうか」よりも「どう準備してお願いするか」の方が、ずっと重要なんです。
段取りが9割!証明書はお願いの仕方で結果が変わる
「書いてくれないかも…」
「もう辞めたし気まずい…」
そんな不安を抱える人も多いですが証明書の取得は交渉ではなく段取り。
- 丁寧な文面を用意する
- 書式をそろえて送る
- 相手の負担を減らす工夫をする
──たったこれだけで、協力してくれる確率はグッと上がります。
証明書が用意できれば、あとは一直線!
実務経験さえ証明できれば、筆記試験は対策次第でしっかり合格可能。
つまり、調理師免許の合否を分けるのは「試験」ではなく「準備」なんです。