飲食店が弁当の販売を「許可なし」でやっていいものだろうかと心配になりますよね。
そもそも弁当販売するのに誰の許可がいるの?って思うでしょうし。
今回の記事では、飲食店が「弁当」を始めたい!って時に必要な許可や申請について書いていきます。
・弁当販売で保健所が指導するポイント
・弁当販売でのルール
・飲食店が弁当を販売する理由
目次
弁当販売で必要な許可とは
早速ですが、飲食店が弁当販売する為に、必要な許可は以下の2つ。
・食品衛生責任者を置くこと
この2つの許可と申請でOKなんです。
誰に許可をもらうのかって言うと保健所です。
ということは、飲食店を開業している人たちからこんな声が聞こえてきそうです。
って。
まぁ、そうなんですが、この考えはダメなんです。
飲食店営業許可と食品衛生責任者、この2つだけでは、保健所が黙っていない。
なぜ、黙っていないかという理由があるんですね。
「弁当」という商品に対して保健所からの強いメッセージがあるんで、次に書いていこうと思います。
弁当販売で保健所が黙っていない理由
先ほども書きましたが、飲食店をやられているなら飲食店営業許可と食品衛生責任者はすでに持っているのに、なぜ保健所は黙っていられないのでしょうか?
理由は、2つあります。
1つ目の理由は、食中毒のリスクが上昇するからです。
2つ目の理由は、お前に許可を出したのはそんな理由じゃねーってことです。
弁当は食中毒のリスクが上がる
飲食店営業許可のもと、普通の飲食営業をしていたら問題はないんですが、弁当販売となると保健所は話は変わります。
弁当販売というのは、一種の「大量調理」です。
保健所のバイブル的な存在の「大量調理施設管理マニュアル」を知っている人ならご存知だとおもいますが、大量調理にはルールがあります。
大量調理のルールには、まず、冷たいものは冷たく出す、温かいものも冷たく出すが基本原則があります。
そう、弁当はすべてが冷たくできています。
作ってから食べるまでの時間が長くなると、食中毒の原因となる菌数は増えます。
そして、温かい弁当なら菌の増え方も格段に上がります。
そういう弁当の基本的なことを保健所は伝えるという仕事があるんですね。
だから、保健所は弁当を販売する際には黙っていられないわけです。
保健所も、今はコロナショックで穏便に済ませていますが、たぶん、テイクアウトやデリバリーで弁当の安全基準が下がっていると認識しているはずなので、冷や汗をかいていると思います。
今のご時世、飲食店が大変なのを知っているからあれですが、実際は保健所も危険視していることは間違いありません。
何かあったら助けてくれるのが保健所ですので、相談をしていきましょう。
飲食店営業許可を出した理由はそんな理由じゃなかったよね?
飲食店をすでに開業している方は、飲食店営業許可を。
面倒くさいですよね、保健所に相談なんて。でも、相談はするべきなんです。
理由を先ほども言いましたが、「お前に許可を出したのはそんな理由じゃねー」
っていうことです。
要するに、審査のやり直しです。
もちろん、今までの飲食店営業許可証は使えるので大丈夫なんですが、問題は弁当を販売できる状況にあるのかどうかなんです。
弁当を販売する以前に飲食店営業許可の申請を出した時は、保健所に「飲食の営業をしていいよ」って言ってもらったはずです。
でも、それは、飲食店が食事を店舗内で出すという構造で許可が出ていたはずです。
だから、保健所側は、弁当販売するとは思っていません。
飲食店営業許可を出した理由は、店舗内での営業を許可するという意味だったんですね。
だから、弁当のことなんて保健所は把握していないまま許可を出している状態と言えます。
ですので、「弁当を販売する」「テイクアウトをはじめる」など相談をしておきましょう。
では、次に、弁当を販売しようとして保健所から指摘されるポイントを書いていきます。
弁当販売で保健所より指摘されるポイントは3つある
飲食店が弁当販売をする為の許可については、上記の通りですが、保健所に相談をして指摘されるポイント3点ほどあります。
・調理施設について
・弁当の製造について
では、説明していきましょう!
食品表示について
保健所は「お弁当をどのように販売されますか?」って言ってくると思います。
弁当販売の方法によって、食品表示が必要な場合といらない場合もあったりします。
だから、保健所は、販売の方法を確認してくるでしょう。
食品表示の説明をすると、大量の記事が必要になってしまう為、今回は書きませんが、テイクアウトとデリバリーの食品表示について【飲食店】テイクアウト・デリバリーは食品表示が必要なのか?で書いています。是非参考にしてみてください。
もし、食品表示が必要な場合、食品表示の書き方やラベル作りなど、さまざまな指導を受ける事や、勉強が必要になってきます。一度作れるようになれば、食品表示は同じようなパターンが続く為、勉強する必要が少しあります。食品表示については【食品表示ルール】お弁当や惣菜を販売する時の「表示方法」と「表示ルール」で書いて書いていますので読んでみてください。
問題はどうやって印刷するかです。
もし、普通のA4などをプリントするように印刷するプリンタだとしたら面倒だと思いませんか?
しかし、最近は印刷するラベルプリンターが安く手に入ります。私もびっくりしました。昔買った値段とは天と地の違いがあります。私はラベルプリンターを20万で購入したので現在の状況が羨ましいです。
brother ブラザー工業 感熱ラベルプリンタ
これらを使えば、食品表示はかなり簡単に出来るようになります。
食品表示は、食品表示法という法律の上で義務化されていますので、食品表示は弁当販売でも必要になってくるパターンがあります。
わからない場合は、お近くの保健所で聞いてもらえると答えがわかりますよ。
通い箱だと、食品表示をしなくていい
しかしながら、通い箱の弁当屋は、食品表示をしていません。通い箱の弁当屋って言うのは、俗にいう産業給食という分野です。
産業給食が分からない人は下の記事を読んでください!
通い箱は下のような感じの器で弁当を作っている弁当屋です。よく、工場とかの弁当を配達している弁当屋とかの事ですね。
弁当箱を回収して洗って、再度器を使うというサイクルで弁当を配達製造を行っています。
しかし、この通い箱の場合、なんで食品表示をしてないんでしょうか?
それは、事前にお配りしているメニュー表に食品表示をしているからです。
通い箱を使う弁当屋は、メニュー表というツールを使います。メニュー表の中に食品表示を行えば大丈夫というわけで、ラベラーが必要なくなります。ですので、飲食店が弁当製造をする場合、通い箱は良い方法だと言えます。メニュー表に全部書いて渡せばそれで終わです。
ラベラーを買う必要も、ラベルも貼る必要がないんですね。
弁当販売する場合、保健所は調理施設も指導する!
弁当を販売する上で大事なのが、弁当製造工場です。飲食店として普段からやられている場合は、この部分はだいたい大丈夫でしょう。(衛生的なら)
施設指導の場所はだいたい決まっているので下の記事を参考にしてください。
しかし、イベント会場や祭りなど弁当販売を臨時店舗でする場合、異なった申請が必要となります。
イベント会場での販売や期間限定での出店などの場合、出店する管轄の保健所に申請が必要です。
特に、イベント会場など野外の場合は、衛生管理基準がグッと下がり、食中毒の危険性は増します。保健所も、安全に営業が出来る状態かを見に来ますので、不衛生な運営はやめましょう。
水を現地で調達するとか、手洗いはどうするのか、食品を保存する冷蔵庫など、質問は多いと思われます。
答えられるようにしておきましょうって、言いたいところですが、何を聞かれるかわかりませんよね?
そういう場合は、事前に保健所に相談をしておけば、どんな部分が大事かが分かりますし、対策をすることが出来ます。だいたい、保健所の職員のレベルによって指摘される内容も違うし、見るところも変ってきます。ですので、普段から保健所の職員さんと仲良くなることは大事です。
保健所を有効に使いましょう。
弁当作りで大事なことは、弁当の製造方法
弁当作りで大事なことは、先ほどからも言っているように、食中毒に対する対策です。これは、保健所の指導にも通ずるところですので、大事なポイントです。
弁当屋の指導を行う時、保健所はあるバイブルを引用して指導を行ってきます。そのバイブルは、「大量調理施設衛生管理マニュアル」。厚生労働省が出しているガイドラインです。
この大量調理施設衛生管理マニュアルから、弁当作りで大事なことを略して書くと、
・調理中の食品の中心温度を計り記録する。食中毒菌を死滅させる。
・作った食品は、10℃以下まで冷却をする。食中毒菌を増やさない。
・食品工場として、ルールの徹底。食中毒菌を持ち込まない。
まだまだ、ありますが、基本は食中毒を気を付けましょうというスタンスが大事です。弁当屋さんというのは、普通の飲食店ではしない事を指摘されるかもしれない。普段からされていれば、問題ないのですが、食品を冷却するという作業は、まず普通の飲食ではしないでしょう。そこが、弁当を作る上で難しいところでしょう。
大事なのは味の計算です。
冷ました時にどういう味になるか、計算をしながら作るわけです。これが大事。意外と冷めると味がなくなってしまうので、濃く味付けをしないと美味しく感じないという事があります。気を付けてください。
それと、おかずを冷やす機械なんてない!って言う人は、たくさんいると思います。そんな人は、作ってからすぐ食べてもらえば大丈夫です。ほっともっとやほか弁スタイルで弁当を作ってから食べるまでの時間が短いのであれば、温かい弁当でもOKです。腐る前に食べろです。
これも、大量調理施設管理マニュアルに書いてありますので、読んでみてください。
飲食店が弁当を販売する理由
最後に、飲食店が弁当を販売する理由を、私の言葉で書いてみます。
飲食店というのは、普段はその立地条件に売上が左右され、お客様が来なかったら売上は0円。という条件を突きつけられています。その為に、必死でお客様を呼び込むのですが、うまくいかない事だってあります。
例として、飲酒運転の取り締まりが厳しくなった時期に、多くの居酒屋さんが閉店に追い込まれたのをご存知でしょうか。飲酒運転が出来ないから、居酒屋にいけない。本当に、居酒屋さんたちは悩んだと思います。もちろん、そんな中でも立ち上がって、「夜がダメなら、昼に弁当を販売する。」という選択をした居酒屋さんもいました。この考えは、売上を作る為には必要な考えだと言えます。
2020年入ってからは、新型コロナウイルスで営業自粛。店内飲食に出口は見えないです。そうなると、デリバリーかテイクアウトしかないです。
ラッキーなことに、飲食店には「キッチン」があります。しかも、営業許可が下りているキッチンがです。
これを使わない手はないです。
飲食店の切り札はテイクアウトとデリバリー!新たな許可は必要か?にも書いているんですが、お客さんは見込めます。
というか需要はテイクアウトやデリバリーに完全に移行しています。
飲食店を営業するなら、売上を作るのは大前提です。だから、飲食店が一歩前に出ると、弁当販売ということになるんです。
食品を製造して販売という手もありますが、現金売上に直行する弁当販売は、飲食にしてみれば魅力的でしょう。